◆ 臆病 ◆
吐き気が、なにも吐き出さずに絶え間なく続く
快楽にも似たどうしようもないうずきが胸の内側を
掌を
指先にまで侵攻していく
言葉が出ない
震えているのは全身なのか、内臓なのか
竦みあがる心だけが自分をずっとずっと遠くに追いやっていく
そして、自嘲する
垂れ流した涙と唾液が
このままきっと何も変わらずにいてくれると、願い続けていて
それはとても醜悪なのだった
小刻みに世界が揺れて
いつか下される瞬間が恐ろしくて
ただ呆然としているしかない
立ち尽くして死んでいるかのように
僕はただただ自分を嘲笑う
どうして僕は、僕でしかないのだろうと
2008.08.02UP