◆ 悪夢 ◆

弛緩する腕が、横たわる身体から生えている
群青の空が白を混じらせて
このまま死んでしまえと、俺を誘う

なにも出てこない
焦がれるのは自分にはない全てで
いつの間にか模しているこの浅ましい脳みそが俺を自嘲する

俺は生きているという実感はなくて
血を流す赤く腫れた腕のどこかも
痛いとかそんなんじゃなくて
もう、終わればいいだろうと繰り返すだけだ

海に浮かぶ身体を魚が啄ばみ
森に倒れ込んだ身体を獣の群れが噛み尽くし
無機質なこの世界に小さく消えていく身体を細菌たちが舐めまわす
小さな塊を飲み込んで、そんな夢をみる
夢を消し去る綺麗な塊だと言われた
ならば意識のない合間にみるものは、全て現実なのか


辛いのは、君を夢にみないこと
死にたいと願ってみる夢は甘美で
けれど夢は夢でしかない



いない、いない
君だけが抑えられて、君をみれない





2008.07.05UP